MBA留学 と 日大の対応
MBA留学 と 日大の対応
ブログを書く頻度が落ちており、すみません。
最近、時間はあるものの修士論文に取り掛かることであったり、日本に帰ってからのことをあれこれ考えていてなかなか、ブログに向かっていませんでした。
さて、今日はいま連日、日本で報道されている「日大の対応」に関して書きたいと思います。
「日大の対応」とサーバントリーダーシップの欠如
サーバントリーダーシップとは、アメリカのロバート・グリーンリーフ博士が提唱したリーダーシップ哲学で、「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考え方に基づくものです。
それと対になるリーダーシップが「強制型リーダーシップ」。これは従来型といわれるもので、いわゆる支配的なリーダーシップを意味しています。
今回の日大の対応を見ていると、日大の監督やコーチのスタイルは「強制型のリーダーシップ」スタイルと捉えることができるなと感じています。
下記にわかりやすい図を載せておきます。
支配型リーダー | サーバントリーダー | |
---|---|---|
モチベーション | 大きな権力の座につきたい | 地位にかかわらず、他者に奉仕したい |
重視すること | 競争を勝ち抜き自分が賞賛されること | 協力して目標達成し、皆がウィンウイン |
部下への影響力の持ち方 | 権力を使い、部下を畏怖させる | 信頼関係を築き、部下の自主性を尊重 |
コミュニケーション方法 | 部下に対し、説明し、命令する | 部下の話を傾聴する |
業務遂行方法 | 自身の能力を磨き、その自信を元に指示 | コーチング、メンタリングから部下と共に学ぶ |
成長への考え方 | 社内でうまく立ち回り、自身の地位をあげて成長 | 個人のやる気を重視し、組織の成長と調和させる |
責任への考え方 | 失敗した際にその人を罰する為の物 | 責任を明確にし、失敗から学ぶ環境を作る |
【出典】”The Essentials of Servant-Leadership: Principles in Practice” Ann McGee-Cooper and Gary Looper
*この図はこちらのサイトから引用させてもらいました。
サーバントリーダーシップの意味とは?特徴や事例をご紹介 | BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)
実はMBAの授業で上記のリーダーシップについて勉強する機会がありました。
特にこのサーバントリーダーシップの授業には重点が置かれていて、2日間のセミナー、プラスしてプレゼン課題まで出されました。
なぜこれほどまでにこのリーダーシップに重きが置かれているかというと、昨今のリーダーのコンプライアンスにおける問題やリーダーのスキャンダル絡みの問題の社会的な関心の高まりを背景として、組織を導くリーダーの持つべき道徳観や倫理観が、組織を守る上でも非常に重要になってきているからということでした。
授業では「まあ、(当然)そうだよね、うん、道徳観は大切だよね」と聞いていました。
でも改めて今回の日大の騒動を見ていると、組織としてのリーダーの持つべき資質とは?ということを改めて考えさせられました。
なんだか物事の事象をちょっと学問的に捉えようとする自分に恥ずかしさを覚えます。
ただ逆にこのようなことを勉強していたおかげもあって、どのような点が日大の対応としてまずかったのかを理論と結びつけて考えることが出来ているのは、一つの学びなのかなと考えています。
また自分自身が組織を導く立場に身を置いたときにどのように行動すべきか、どのように心を置くべきかということも考えさせられる事件だったなと思います。
日大の対応の不誠実さ
世間でもかなり話題になっていますね。
日大の対応の不誠実さ。今日会見を見ました。
選手の理解と監督・コーチからの指示に乖離があったことを主張しているのが日大側です。ただ、会見を見ていてもそこに至ってしまったことに対する反省の言葉のふしぶしには、
「自分たちは怪我をさせろと指示は出していない、学生側の理解が欠けていた、(なんて余計なことをしてしまったんだ)」
というような心情が見え隠れしています。
学生を精神的に追い詰めて、「潰してこい」と暴力に繋がる言葉を発しておきながら、自分の非を100%潔くは認めない姿勢には憤りを感じました。
私は日大の監督とコーチの会見を見て、「(50%位は我々が悪いが、50%位は学生にも非がある)」といった姿勢を感じました。
大人として、人を指導する立場の人が発する言葉ではないな、不誠実だなと感じたというのが率直な意見です。
また(言い訳じみた)会見をした意味もよくわかりませんでした。
ネットでは「火に油を注いだ」と中傷されていますが、まさしくその通りだなと思います。
こんな人達の下で、働く・指導を受けるのは嫌だなと思ったのが正直な感想です。
きっと現日大のアメリカンフットボール部の中にもそのように感じた学生は少なくないのではないかと思います。
学問的な一つの示唆はこちらの図になるかなと思っています。
日大には「生徒を支え、支援する」という姿勢が著しく欠如しているように感じます。
口では「生徒に頑張って欲しい」「もっと成長して欲しい」と言っていますが、それは生徒のことを思って発せられている言葉というよりも、生徒が成長すればコーチとしての自分の成果となるといった感情が見え隠れします。
また監督も生徒とのコミュニケーションは少なかったとコメントをしているように、支えるタイプのリーダーでなかったことは容易に想像できます。
生徒を恐怖でしばり、恐怖で動かしてきたんだろうなと思います。
そんな組織が垣間見えてしまった会見でした。
まとめ
今回の騒動で組織の長の取るべき行動や資質を改めて考えさせられました。
日大は完全に反面教師になっていると思います。
こういう対応の仕方を取ってはいけないよ、ということを敢えて世間や社会に教えているのか?と思えるほど、憤りを感じる会見でした。
一方で危害を加えてしまった学生の会見は立派でした。
自分の非や弱さを完全に認め、監督やコーチへの感情などについては自分がコメントすべきことではないと対応し、批判も文句も言わない彼の姿勢には多くの方が共感したと思います。
立派な大人に成長して欲しいと切に願います。
久々のブログは最近の日本で起きているアメフトに関してのブログでした。
以上です。お読み頂きありがとうございました。